ストロングになった KOTEZ & YANCYが 9年ぶりの新作『Here Comes The Band』リリースパーティ!
- Mie Senoh
- 2016年10月12日
- 読了時間: 4分

◆いい意味で裏切られた新譜 KOTEZ & YANCYの新作『Here Comes The Band』(AirPlane AP-1064 2,500円 + 税)が届いた。 なんと、前作『221』から9年ぶり。 椎野恭一(dr)はじめ、信頼するメンバーのサポートを受け、選りすぐりの10曲を届けてくれた。 1999年、日比谷野音での [JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL]でデビューしたときから、
彼らは光っていた。
ハーモニカとピアノだけでグルーヴする。そんなデュオは日本にいなかったのだ。 “NEO BLUES“ともうたわれたように、 それまでの日本のミュージック・シーンに風穴をあけようとする姿勢が、かっこよかった。
あれから17年。キャリアを重ねた2人の新譜は、当時の“コテヤン”とはひと味も違っていた。 いい意味で裏切られたと言ってもいいかもしれない。 1曲目に<Stand By Me>を持ってきたことに、まず驚く。 YANCYのオリジナル2曲を除けば、驚くほど、スタンダードと言ってもよいナンバーばかりだ。 <Bring It On Home To Me><Nobody Knows When You Down And Out> <You Send Me><The Dark End Of The Street><Blueberry Hill>・・・・・・。(詳しい曲目は右画像をクリック)
その中にあって、ボビー・チャールズの<But I Do> はYANCYならではか。 次にとまどったのは、その歌い方だ。 シャウトしない。 KOTEZならではのハイトーン・シャウトにしても、ずっと着地がやわらかい。
加えて、節回しにも独特なものがある。 オリジナルを尊重しながらも、自分の中にあるメロディラインを歌っているのだろう。
2人とも、ハンドマイクで勝負するようなヴォーカリストではない。
だが、何度も聴くうちに アンサンブルの一端を担うインストルメンタルとして その歌声が、身体の隅々を満たしていくような気がするのだ。
◆彼の地の音楽を日本に引き寄せて 演奏についても同じことが言える。 力量の確かさは、あえて指摘するまでもないだろうが 今回は“これ見よがし”なところがない。
ソロ・パートでぶつかり合うのではなく
お互いが溶け合っている。
「二人とも、いろいろな音楽の現場で別々の時間も過ごし、 その時間は僕ら二人の音楽に常にフィードバックされてきた。 お互いの音色やフレーズが、ここ数年変化したことに二人とも気づいていたし、 前はできなかったなりふり構わず自分たちをさらけ出すことも、 いつしかできるようになってきていた」 とYANCY。 KOTEZも 「今でも聴くたびに、ハダカを見られているような気持ちになるんですよ」 と言う。
フォーマットがブルースであっても
ニューオリンズ音楽であっても
日本のバンドだ!と感じさせるその理由が
2人の言葉から垣間見えた気がした。 ルーツ・ミュージックを愛するバンドの多くが アメリカに近づこうとしているのに対し、 KOTEZ & YANCYは、彼の地の音楽を 日本にぐいっと引き寄せてしまったのではないだろうか。 ホーン・セクションを交えたサウンドに マッスル・ショールズのようだな、と感じる瞬間もあるけれど それは、海の向こうアメリカのまね事ではない。 ドクター・ジョンやジェリー・マッケインをはじめとする
レジェンドだけでなく
共演したすべての日本のミュージシャンから受け継いだスピリットが
脈々と流れているのがわかる。
もうどんな編成でも揺らぐことはない。
サウンドはリラックスしているが、KOTEZ & YANCYはより強くなった。
◆Here Comes The Band! 主役はコテヤンだ! ゴージャスなタイトル曲<Here Comes The Band>は
メインアクトの登場を待つオープニングテーマのよう。
聴いているうち、 今まで観てきた、いろいろなライヴが頭をめぐる。
ちょっとせつない気持ちになるのは、 これまで生きてきた時間の縮図でもあるからだろう。
それをKOTEZさんに話したら 「それが僕らのソウル・ミュージックっていうことなんですよ」 と笑った。
10月20日には、レコーディング・メンバー(+安藤健二郎)が顔をそろえての
リリース・パーティが開かれる。 彼らの“ソウル・ミュージック”を、肌で感じるまたとない機会。
私も足を運ぶつもりだ。 (編集部 妹尾みえ)
********************************* KOTEZ & YANCY「Here Comes The Band」Release party
10月20日(木) 会場:Motion Blue YOKOHAMA tel.045-226-1919 時間:open 18:00 start 19:30 料金:4,000円
出演:KOTEZ(harp,vo)、YANCY(p,vo) 、椎野恭一(ds)、浜崎賢太(b)、安宅浩司(g) 安藤健二郎(sax)、曽我清隆(tp) 、Shi-taθ(cho)、Sophie Uchida(cho)、RACHEL(cho)
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